3歳児健診への視能訓練士の参加について(視能訓練士 佐藤)

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3歳児健診への視能訓練士の参加について(視能訓練士 佐藤)

11月13日札幌で行われた医療従事者講習会に参加し、遠軽町での3歳児健診の取り組みについての講演を聴きました。遠軽町では、北海道では唯一3歳児健診にて視能訓練士による検査を実施しています。そのため、より詳しい検査ができ弱視の早期発見につながったというお話でした。

★3歳児健診とは・・・
初めに3歳児健診の眼科健診では、弱視・斜視を検出することを目的としています。
自治体によって流れは異なりますが、
①1次健診:アンケートと家庭での視力チェック
②2次健診:1次健診で異常が疑われる場合は保健所にて検査
③3次健診:2次健診で弱視や斜視の疑いがあれば眼科での検査
という流れになっています。
検査内容、検査対象は自治体によって異なり1次や2次健診で疑いがなかったお子さんでも、就学時健診、学校健診で初めて弱視がわかることも少なくないのが現状です。
そのため2次健診での検査が重要となり、ここで眼科専門スタッフである視能訓練士が参加することができれば、より詳しい検査をすることが可能となります。特に、そこで屈折検査ができれば弱視になりそうな強い遠視、乱視などがないか調べることができ、早期に弱視を発見することができます。

★弱視とは・・・
そもそも弱視とは、眼の発達が止まったままの状態のことをいいます。
生まれたばかりの赤ちゃんは、光がぼんやり分かる程度にしか見えてなく、その後、眼に入ってくる刺激により急速に視力は発達していきます。その発達する期間は短く6歳の頃にはほぼ視力が完成すると言われています。
もし、視力が発達する大切な時期に、例えば強い遠視などがあるとその眼は遠くも近くもぼけて見えるために視力の発達を妨げる原因となります。そのまま見えていない状態が続くと視力の発達が止まってしまい、将来、眼鏡などで矯正しても視力が出なく弱視となってしまいます。
そのため、将来の視力に大きく関わることからもできるだけ早期に発見して早期から治療が望まれます。よって3歳児健診での弱視の早期発見が求められているのです。

遠軽町では、3歳児健診に平成25年から視能訓練士が参加し、屈折検査などを行っているそうです。その結果、弱視になりそうな屈折異常(遠視、乱視など)があるかを調べることができ、今まで見つけることが難しかったような症例でも、早期に発見することにつながったそうです。その報告からも、3歳児健診が、より早期発見のきっかけとなるように、多くの地域で視能訓練士が参加し詳しい検査が受けられる環境が、今後望まれます。
(視能訓練士 佐藤)