iPS細胞

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iPS細胞

ブログの随分と長い夏休みを取ってしまいました。暑さも落ち着き、勉学の秋が近づいてきましたので、また、再開していきたいと思います。

2か月前になりますが、iPS細胞を人に応用する世界初の臨床研究が日本されることになり、眼科の病気が選ばれました。
加齢黄斑変性症という難病です。
加齢により網膜(眼底の内側に貼りついている神経の膜、ここで光を感じています)の中心部にある黄斑に障害が生じ、見ようとするところが見えにくくなる病気です。現在のわが国の失明原因の第4位となっている難病です。
「治療の安全性を確認することが主たる目的。治療法を作るための第一歩、これから長い道のりがある。」と理化学研究所でのコメントがありました。
今は10分かからず終わり、手術後数時間休んで帰宅できる白内障手術も、20数年前には、大掛かりな麻酔をして、切開や縫合も多く、45分くらいも手術はかかり、術後1週間くらい入院する、というものでしたから、もっと複雑な病気である加齢黄斑変性症の治療方法としてiPS細胞が一般的に使用されるようになるには、ほんとに長い年月がかかるんだろうなと思います。しかし、「初めの一歩」がなければ何も始まりませんから、とても朗報と思います。
一般の方にも、この発表は非常に反響が大きかったようです。当院でも2名の方に、「自分の病気と同じと思う、治療の対象にならないだろうか」と相談受けました。お二人とも、黄斑に障害はあるものの加齢黄斑変性症とは違う御病気でした。障害のある方は、よい治療法がないか、いつも心待ちにしているということを痛感しました。今後、加齢黄斑変性症含め難治性の病気の治療方法が少しでも進歩していくことを期待しています。(院長)