日本斜視弱視・小児眼科学会に参加して(視能訓練士 佐藤)

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日本斜視弱視・小児眼科学会に参加して(視能訓練士 佐藤)

6月16,17日に金沢で行われた日本斜視弱視と小児眼科の合同学会へ参加してきました。
今回の学会では、各自治体での小児の眼科健診の実態について多く取り上げられていました。
まず、3歳児健診では、弱視の発見を目的としていますが、そこをすり抜けてしまうと就学前後まで弱視の発見が遅れてしまうことが、問題視されています。そこで、3歳児健診を補完するためにどう取り組むべきかを様々な面から検討がされていました。
現在、幼稚園・保育園では視力検査を実施することが法的根拠によって規定されています。当院でも、「幼稚園での視力検査の結果が悪かったので・・」と受診されるお子さんがいらっしゃいますが、幼稚園・保育園で視力検査を実施している所は全国的にも少ないのが現状だそうです。幼稚園・保育園で視力検査を実施することで、就学時健診よりも早期に弱視を発見することができ、治療も早期から始めることができます。そのためにも、幼稚園・保育園での視力検査の実施率の向上が、今、とても求められているそうです。

また、弱視の原因の多くは、強い遠視、強い乱視(屈折異常)があることで、視力の発達を遮ってしまいます。そのため、遠視、乱視の度合いを検査する「屈折検査」が重要視され、3歳児健診への導入が望まれています。ですが、3歳児健診に眼科専門医や視能訓練士が参加しているところは少なく、全国的にも3歳児健診で「屈折検査」まで導入しているところは少ないのが現状です。
今回の学会で取り上げられていた検査機器の中に、「スポットビジョンスクリーナー」という「屈折検査」の機器が注目されていました。特徴は、少し離れたところから短時間で両眼の度数を同時に測ることができ、測定中の患者さんへの負担も少なく、乳幼児でも測定できるようです。また、この機器は操作がとても容易で、眼科専門医や視能訓練士でなくでも容易に検査することが可能なため、小児科や3歳児健診などに導入しているところがあるそうです。
今後、多くの自治体3歳児健診で「屈折検査」が実施できれば、健診の精度向上が期待でき、早期に弱視を発見、早期治療に繋がることを期待したいと思います。

最後に、今回の学会で幼児の眼科健診の状況について知ることができ、健診の内容、健診時期について自治体によって様々だと言うことが分かりました。3歳児健診の精度向上も求められますが、3歳児健診で異常がなかったとしても、日常生活で少しでも気になることがあれば、一度眼科で検査を受けることをお勧めします。(視能訓練士 佐藤)
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